神戸市北区淡河町の農業女子、森本聖子さんのいちごハウスにおじゃましました。この日は月刊フードジャーナル5月号で取り上げる農産物の取材をお願いしていて、お話を伺った後にイチゴの圃場へ案内してくださいました。ハウスのなかに一歩足を踏み入れると、甘酸っぱい香りとともに、いちごが放つ元気なパワーが充ち満ちていました。

聖子さんが農業を始めたきっかけは、ベランダ菜園だったのだそう。小さなプランター栽培から始めて、気がつけばベランダが手狭になるほど、野菜づくりに夢中になっていました。その後、神戸市北区淡河町で貸し農園を借りて、1畝から栽培をスタートさせます。

週1回ほどのペースで畑に通ううち、何を植えても鈴なりに野菜が実る貸し農園での栽培に、どんどんのめり込むように。野菜作りが大豊作となるのには秘密があった、と話す聖子さん。貸し農園は、お客さんに楽しんでもらえるように、貸主のプロの農家さんがしっかり土作りをしてくれているので、栄養たっぷりの畑で育つ野菜はおのずとよく育つんですね。そんな経験を通して作物を育てる楽しみを知りました。

プロの農家を志した聖子さんは、兵庫県新規就農駅前講座を受講後、それまで勤めていた会社を退職後に、神戸市西区の兵庫県楽農生活センターの就農コースで勉強し、1年間の研修を経て2013年から正式に就農。ひとりで農園を切り盛りしながら、少量多品目で年間約100種を栽培しています。なかでも、いちごの栽培には力を入れていて、約45メートルのいちごハウスでは、紅ほっぺを育てています。

紅ほっぺは1994年に静岡県農業試験場が章姫(あきひめ)とさちのかを交配させて作ったもので、2002年7月に品種登録。鮮やかな赤色は果肉の中まで及び、しっかりとかたく大きな実をつけるのが特長です。聖子さんのいちごハウスでは、適期を見極めながら約半年間収穫が続きます。いくつか試食させていただくと、甘さと酸味のバランスが抜群で、いちご本来の味がぎっしりと詰まって感動的でした。さらに、それだけでは終わらず、もうひとつインパクトがありました。それは、香りです。私はこの時初めて、いちごが発する香りそのものを鼻腔がしっかりと受け止めるのを感じました。いちごを食べた時に、甘い香りを認識することはありますが、いちごの甘さの延長線上で感じるもの、といったイメージでしたが、それとは明らかに違う、いちごそのものの香りの存在を意識したのは貴重な経験でした。

神戸市北区はいちごの栽培がさかんな地域で、いちご狩り園として一般のお客様に圃場を開放している農家さんもたくさんあります。淡河町では聖子さんを含めていちご部会のメンバーは4名。いちご狩りはできませんが、神戸市内のファーマーズマーケットや町内でのイベント開催時に販売していて、聖子さんのいちごファンも急増中。私もファンのひとりです。

神戸市北区淡河町神田にある大人気のベーグルショップ はなとねさんでは、聖子さんの紅ほっぺを使って作られたギモーヴが販売されています。いちごのおいしさをそのままギュッと閉じ込めて仕上げられた、ふわふわ優しいマシュマロです。おいしいベーグルとともに、おやつにいかがですか?

4月22日(土) はなとねさんで開催された「おうごんマルシェ」については、こちらでご紹介しています。

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