キッチン菜園と防災食。ローリングストックで美味しく備える

日本は地震や台風など、自然災害の多い国。
先月発生した台風15号の影響で、千葉県では大規模停電が長期化し、
まだまだ大変な状況が続いています。

度重なる災害に見舞われた直後は、防災意識がにわかに高まりますが、
時間が経ってしまうと、少しずつ忘れてしまうものですね。

日頃からの備えは重要で、非常持ち出し袋の常備や飲水の確保などは
比較的意識されているかたも多いかもしれませんが、
非常時の食事については、あまり意識されていないのではないかと思います。

先日、友人の野菜ソムリエグループが、防災食をテーマにした
食育イベントを開催し、取材を兼ねて参加させていただきました。

進化する非常食。さまざまなニーズに対応できる防災食の今

災害時には、ガスや電気の供給がストップし、避難所などへの救援物資も
パンやおにぎりなど、調理せずにすぐに食べられるものが主流です。

最近では、ただ食べられればいい、というだけでなく、
食の多様性を考慮して、さまざまな配慮がなされた防災食が登場しています。

ゲストスピーカーのおひとり、一般財団法人防災安全協会
北村博常任理事から、進化する防災食についてお話をお伺いしました。

食物アレルギーに対応した食材やシニア世代もおいしく食べられるやわらかい食事、
インバウンド対策としてハラールフードやベジタリアン向け食品など、
新しい食のニーズを取り入れた備蓄品が増えてきています。

これまでは、非常時に食べられるお米として、
お米を炊いた後に乾燥させたアルファ米が主流でした。

備蓄しておいたアルファ米に、水かお湯をかけると
炊いた時の状態でおいしく食べることができるというものですが、
お湯が沸かせない時や水がなくてもおいしいごはんや
カレールーの中にごはんが入り、加熱せずにそのまま食べられるカレーなど
味のバリエーションにも気を配ったおいしい防災食が注目されています。

意外と役立つのは氷砂糖です。
砂糖類は実質的に賞味期限がなく、通常の状態であれば長期保存が可能です。

思うように水分が取れない時に、口の中に含んでいると、
ゆっくりと溶けて唾液が出るので、喉の渇きを潤すことができます。

イベントでは実際に氷砂糖が配られ、久しぶりになつかしい甘さを実感しました。

イベントでは、野菜ソムリエプロの齋藤倫子さん考案のレシピで
防災食をおいしくアレンジした料理もいただきました。

ユニークなのは、倫子さんがキッチン菜園で実際に育てた
発芽豆やスプラウトを使ったお料理の数々。

日頃から自分自身で野菜を育て、栄養が偏りがちな非常時の食事に活用することで
料理に彩りを添え、新鮮な食材を食べられる喜びを味わえるというもの。

発芽させたひよこ豆やレンズ豆には、ストレス軽減や血圧降下作用などが期待できる
ギャバ（GABA）や腸内環境を整える食物繊維が豊富に含まれ、しかも低糖質。

ブロッコリーやチアシードなどのスプラウトも、
ペットボトルのミネラルウォーターで育てることができます。

インターネットの農学校 The CAMPusで、
持続可能な有機種子学の講義を担当していただいている
株式会社グリーンフィールドプロジェクトの松崎　英さんからも
有機種子を使ったスプラウトや発芽豆の栽培についてのお話を伺いました。

今回お話をお伺いしたなかで、新しいキーワードだなと思ったのは

ローリングストック。

日常生活のなかで少し多めに食料備蓄をしておき、
使った分だけ新しく買い足していくことで、
常に一定量の食料を家にストックしておくというものです。

備蓄食料は、買ったままの状態で長く置かれていることが多いので
いざという時に取り出してみると、賞味期限が切れていたりして
活用できなかったり、ふだんから食べ慣れていないものだったりすると、
非常時に食が進まなかったりすることもあります。

日々の食生活のなかに上手に取り入れて慣れ親しんでおき、
消費して新しいものを購入すると、鮮度のいいものをストックしておけます。

常温で保存できる食品として、野菜ソムリエ上級プロの千田広子さんが
監修・製造を行っている岩手名産万能調味料　ピーマン美噌も紹介されました。

イベントでは、株式会社グリーンフィールドプロジェクトの
ブロッコリースプラウトの栽培キットが当たりました。うれしい（笑）

私もおうちでベジの取り組みを始めてみようと思います。